『天使と悪魔~美術で読むキリスト教の深層』 秦 剛平
キリスト教についての本を読むようになったきっかけはこちら。
今回は、天使と悪魔について。
神は、天地創造のときに天使も悪魔も創っていないので、では、天使の最初の記述は・・・
というところから始まります。
『創世記』や『出エジプト記』にも出てくるそうですが、読みましたが、記憶にありません。
私たちが普段想像する天使とは少し形状が違ったものが記述されており、それを絵にすると、なんだか不思議な物体に見えます。
天使にも位階があるなど、始めて知ることばかりです。
続いて、悪魔はどうでしょうか?悪魔はなんと、3000もの悪魔の名前があるそうで・・・。
天使よりも充実しています。
最初に登場するのは、『イザヤ書』『エゼキエル書』だそうです(私は読んだことがありません)。
起源としては、悪魔は悪魔として存在するのでなく、天使が堕落した姿だそうです(堕天使)。
天界から落とされる絵も紹介されています。
また、『ヨブ記』でのサタンにも触れています。
『ヨブ記』を読んだときは、ヨブの信仰を疑い、けしかけたサタンも悪いけれど、サタンの口車に乗るように、ヨブを試し続けた神様はひどいなあと思ったものです。
こんなふうに、天使と悪魔について書かれていてその都度、その題材に沿った絵が紹介されています。
この本はカルチャースクールの講義の内容をまとめたものですので、非常に読みやすいです。
ちなみに、最後の審判では、天使と悪魔が共同作業する絵も多く書かれています。
そして、天国と地獄の間にある「リンボ」という場所。
不思議な概念です。
著者は大学でも宗教学を教えていたようです。
学生たちの一部はその講義の内容に耐えられず、脱落していくということです。
キリスト教について学んで、こういうものでないとおかしいと教え込まれていると。
教え込むのはいいけれど、同時に疑うことの大切さを教え込まれていないと。
「教師たちは学生たちにキリスト教や聖書について、最終的には自分たち自身の頭で考えなさいとは教えないのです」
これは、私たちの人生全てに関わることだと思っています。
テレビや新聞、本、ネット、友達から聞いた、いろんな情報は、何でも受け入れてから自分で考えるというクセをつけたいと思っています。